エンターテインメントの最近のブログ記事

ちょっと気になる話題だったので、更新。

「政府、ハリウッドにアニメ・玩具セールス 国策会社設立」asahi.com:2011年11月3日3時7分
http://www.asahi.com/culture/update/1103/TKY201111020748.html
-->
日本のアニメや玩具などのコンテンツをハリウッドで映画化するプロジェクトが、今月スタートする。政府が9割を出資するファンド「産業革新機構」が60億円を出資して10月に設立した新会社が日本に利益をもたらすため、ハリウッドに素材を売り込む。
<--

朝日新聞デジタルに加入してないので、記事の続きは見てないけれど、この国策会社とは
http://maruko.to/2010/04/post-83.html
この時に「コンテンツ海外展開ファンド」と言われていたやつだろう。

「株式会社 All Nippon Entertainment Works」の設立については、アニメ!アニメ!ビズでも、3ヶ月前に書かれていた。
http://www.animeanime.biz/all/118161/

産業革新機構のホームページを見てみよう。
http://www.incj.co.jp/investment/deal_022.html
以下のPDFの4ページ目参照
http://www.incj.co.jp/PDF/1313377374.01.pdf
-->
【案件の意義(投資インパクト)】
●本邦コンテンツをグローバルに展開、結果としてグローバル市場からの収益を最大化した上で国内に還元し、グローバル市場で大きな収益を上げる革新的事例を創出し、文化産業からの次世代の国富獲得に貢献する
●国内コンテンツ業界の人材を育成し、グローバル市場における事業化ノウハウを蓄積。また、関連する各種ビジネスを日本勢が獲得することにより、国内産業のグローバル水準でのオペレーション能力を育成、日本の人材及びコンテンツ業界がグローバルビジネスの一角を占めることをめざし、全体のエコシステムを進化させる
<--

これ自体は、特に悪い事業とは思わない。
最後の「エコシステムを進化させる」ってのは意味不明だけど、どっか別の案件の資料でも流用して作って消し忘れたか?(苦笑) ←知らんかった。エコシステムって正しい使い方なのだね(自爆))
何故なら、昨年「クール・ジャパンのマヌケ」で書いた「コンテンツ海外展開ファンド」への苦言に、一部応えてくれたような内容だったからだ。

前提として、日本のコンテンツ業界が、グローバル展開に力不足であることを認めている点は重要だ。リメイクを通じた人材育成で、ハリウッドの流儀を身に付けるというのは、つまりは産業育成だ。これが成功した先に、初めて、オリジナル作品の自力でのグローバル展開なんて可能性が開けるのではないか。

記事が浅いから、誤解するだろうが、短絡的に否定しても何も始まらない。
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1320260613/
http://ceron.jp/url/www.asahi.com/culture/update/1103/TKY201111020748.html
http://ceron.jp/url/www.asahi.com/showbiz/manga/TKY201111020748.html

そら、政権批判とか、誰でも簡単にできる上に共感も得やすいから、楽だろうけどさ。

実は、産業革新機構使ってコンテンツ海外展開ファンド創設するって酷い話は、麻生政権時代にできている。(「クール・ジャパンのマヌケ」書いた時、忘れてたけどね(自爆))
http://maruko.to/2009/05/post-31.html
前提として、俺たちクールだから、販路拡大のファンド作って海外の制作会社に出資すりゃ売れるとか大きな勘違いをしていたので、この頃のスキームだったら、日本のコンテンツ産業は空洞化して終わり。

それが、リメイクの過程でハリウッドのノウハウを学ぼうという姿勢になったのだから、同じ産業革新機構経由でも、単なる資金提供目的のファンドとは全然違う。人材育成を明確に目的にしただけでも、大きな進歩。一見残念なのは、制作する現場への支援が見えない点だけど、この辺に関しては別の事業がいくつか存在するので、分けて考えているのかもしれない。まあ、分けられると、制作現場としてはガッカリなんだけど。

それから、朝日の記事でもう一つ誤解されている部分がある。
-->
まず、映画化を目指す日本の素材の権利を取得したうえで、米国のプロデューサーらと脚本作りや監督、俳優の選定などを進める。当初3年で権利10件、30億円の投資を見込んでいる。
<--

素材の権利を、何故All Nippon Entertainment Worksが取得するのか。
(この部分も、自民党時代と同じ。)

答えは、日本のコンテンツ特有の欠点の一つが、製作委員会方式で権利者がウジャウジャいることだからだろう。こんな面倒なことは、ハリウッドではやっていない。それが、この会社を通せば一社で権利処理できることで、あらゆる展開がスムーズに進められるようになるわけだ。この辺は、エンタメ系の弁護士あたりが思いつきそうな話だ。

今までは、リメイクしたくても、交渉せにゃならん会社が沢山あって、誰の許諾を得れば良いのか分からない場合などもあった。法律にはないが、窓口権というのを製作委員会のメンバー各社が持っていて、誰もがリメイクに協力的とは限らない。その一部が倒産したり、担当者が退職して引継ぎされてなかったりすると最悪で、後からどんな問題が生じるのか恐くて手が出せないとか。まあ、とにかく、ハードルが高いわけだ。リメイクの話なのだから、ある程度古い作品が対象だろうが、もっと古い作品だと、そもそも著作権の帰属レベルで、国内でも裁判だらけだったりするしね(苦笑)

それに、All Nippon Entertainment Worksが「権利を取得」すると言っても、条件付きの使用許諾の類ではないだろうか。オリジナルの権利者が、自らに不利な条件を簡単に飲むはずないので、単純に権利を失うような契約を前提にしているとは考え難い。ということで、そんなに目くじらたてる問題ではないだろう。


ところで、それにしても出資の仕方が迂遠ではないかと思うかもしれない。
実は、経産省のクール・ジャパン戦略推進事業には、北米向けにコンテンツ系のものが存在しない。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/overseas_projects.htm
流石に、俺たちクールとか言いながら、ノウハウ教えてくださいとは言えない。
でも、経産省がやるとしたら、確実にクール・ジャパン戦略推進事業の枠組みになってしまう。

クール・ジャパンと距離を置いて推進すべきという意味で、こういうアプローチをすること自体は、ありでしょ。望ましいとも言える。だから、あんまり国策会社とか強調しない方が良い。それこそ、こっそりやるべき事柄だ。

そんなわけで、All Nippon Entertainment Worksを頭から否定はしないのだけど、できればお願いしたいことがある。

そのリメイク作品のVFX、日本のCG制作会社とか絡ませて欲しい。
どのみち、将来日本に制作の仕事が回ってこないような話なら、意味ないしね。
間違っても、違法でも安価だからと、アジアのどっかの国にばかり仕事ふるようなスタイルは、学ばなくて良いから。
国産比率と法令遵守を条件に...とまではいかずとも、ハリウッドのVFX仕事の下請けでも、参加できるようにしてもらえませんかね?(^^;

まあ、All Nippon Entertainment Worksが天下りの隠れ蓑だったりしたら、最悪だけどね(苦笑)
目的は良くても、手段が杜撰でろくな結果が出なけりゃ、ちゃんと批判しよう。
怪しけりゃ、河野太郎とかが叩いてくれることに期待しつつ(笑)

■クールXXX
テレビ等の韓流過多を嫌うのは、自分も同じ。
だけど、嫌いなら見なけりゃ良いだけと思っていた。ネットと同じ。
なんせ、嫌いな番組なんて、韓流以外にも沢山あって、やらせだってなんだって沢山ある。
しかも、やらせだからと悪いわけじゃないしね。
川口浩探検隊とか、昔は大好きだった。子供心を、何度裏切られたことか(自爆)

なので、最近のフジテレビへのデモとか、みんな、どんだけTV大好きっ子なんだよ?と驚きつつニュースに接した。


遡れば、クール・ブリタニアなわけだ。
ブレア政権当時、来日してクラブシーンを盛り上げていた英国のDJなんか、実は英国の国家ブランド戦略の一環だったりした。
そんな国家戦略とは知らずに、若者は英国に慣れ親しんだ。
そしてもちろん、興味のない人は、保守による反対運動だの嫌英とか言わなかった。

もっと遡れば、ハリウッドへの憧れ、アメリカへの憧れは、反米と直結しなかった。
日本のTVじゃ、韓流に負けないくらい、アメリカのドラマも流されてきたと思うのだけど、アメリカの陰謀とか工作とは言わない。
ハリウッドの俳優をどんなにヨイショしたって、それも当たり前と、既に刷り込まれてる。
「全米が泣いた」と宣伝され、何度騙されても、それを「デマだ」とは騒がない(笑)
宣伝に見えないような番組で、ハリウッド映画を絶賛されたって、違和感を感じない。

だって、それがテレビだからね。
そんなの、みんな知ってることだ。

何故、欧米は許されて、韓国のソレは許せないのか。単にやり過ぎという問題ではない気がする。自分も、上に韓流過多を嫌うと書いた通り、受け入れられないという感情がどこかにあるので、自分自身にどう説明できるか考えてみたりしたのだけど、そういうことを考えるのはちょっと面白い。

ステルスマーケティングが酷いとか言う話もあるけれど、それなら消費者庁の出番かもしれない。しかし、どっかの消費者団体が問題視してるという話も聞かない。
まあ、民放からステルスマーケティングを完全排除できるなんて到底思えないけれど、それは「韓流に限らない問題」として、十分に議論すべき課題だと思う。

個人的には、フジテレビはノイタミナ流してくれてるだけで、十分ですけど(自爆)


しかし、忘れてはならないのは、我が国は、クール・ジャパンを国家戦略にしてることだ。そして、韓流のアレも、「COOL KOREA」な国家戦略なわけ。
http://www.apalog.com/kurita/archive/937
日本の場合、ステルスし忘れて自分からクールですからと言っちゃって支持されると思ってるのが、むしろマヌケだろというのは、過去にも書いてきた。同じく英国を手本にした国家戦略を遂行する国同士として、むしろ韓国の手法は、参考にすべきと思っていたくらいの話だ。


■コンテンツ規制
ところが、韓国では日本の番組が規制されてきたし、中国だって国産アニメ振興で外国番組比率を決めており、かつてのように日本のアニメが中国で大量に放映されていた時代は終わった。中国が日本の影響を排除しようと、国産番組比率を定めた時は、少なくとも自分は彼らを非難した側だった。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20060830/108901/
http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj200608.html

そして日本は現在、韓国や中国に対し、コンテンツ規制の緩和・撤廃を要請している立場。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai2/gijisidai.html
【資料3】参照
ここで韓流を安易に排斥してしまったら、我が国がクール・ジャパンを海外に押し売りする戦略自体の正当性が失われてしまう(苦笑)

台湾が、国産番組比率を20%から40%に引き上げることになって、それを韓流排除だと喜んでる日本人に至っては、正気を疑う。
http://hamusoku.com/archives/5459259.html
今は日本の番組が少ないから被害が少ない?
永遠に負けてる前提かよ(^^;

パイが縮小すれば、韓流番組が減るのと同様、将来日本の番組が放送される可能性も確実に減る。コンテンツや文化の海外輸出拡大を国策としている以上、我が国にとって、大きいパイのままの方が良いに決まっている。これに逆行する動きに賛同するとは、それこそどこの国の回し者だ(苦笑)

韓流過多なテレビ局やそのスポンサーを、反日、非国民のように非難している人々は、クール・ジャパンをどう見ているのだろう。今、シェアで押されているからと、相手を排斥できるようなルール変更を喜んでいては、将来逆転を狙う手段が奪われる。

韓流排除のために、日本も他国のように外国番組規制をすべきなんて聞くと、何でそっち方面だけ中国や韓国の真似をしたがるのか、本当に不思議に感じる。


かつてフランスは、日本のアニメを「文化侵略を行う敵」と定義した。
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/anime1.htm
韓流に反発してデモする人々は、この頃に日本が言われていたことを知っているのだろうか。

フィリピンでボルテスVが放送禁止された経緯も、忘れてはいけない。
http://www.nx.sakura.ne.jp/~haituu/nhktv.htm

日本のアニメは、国内で利益回収した後、安価に輸出され、粗悪なコンテンツとされていた。ディズニーのフルアニメが本物で、日本のリミテッドアニメは偽物と。安価だからと、粗悪なコンテンツによって文化侵略を許すな、と言われてきたわけだ。

しかしこれが、クール・ジャパンの源流にあることは、誰も否定できない。
今のフランスのアニヲタを見るに、少しは侵略成功という気もしないではない(笑)
日本のコンテンツも、もっと海外で排斥されるべきだったのかね?

(ちなみに、日本のアニメは残虐で、教育上相応しくないと海外で言われだした頃、子供に相応しいと言われたディズニーのアニメも、日本で作ってたりしたんだけどね(爆)
目に見える部分を排除しても、ハッピーにならんのよね。まあ、日本で外国のコンテンツを制限するような法律を作ろうとしたら、アメリカ様が黙っておるまいが。)


今回の騒動をよく理解できないのは、例えばこういう声。
http://www.j-cast.com/2011/08/07103785.html?p=all
>行列に加わっていた女性は、フジの韓流偏重に「不快感」を感じていたと話し、
>「SNSを通じて巻き起こった、エジプトの革命のようなことが日本でも起これば面白いなって」

エジプト人に謝れ(苦笑)

まあ、色んな意見の参加者がいるとは思うけど、一見右翼的主張を左翼的行動原理で実現しようとする、自称保守な、その実は排外主義者にも見えるのだけど、なんとなくファシストと呼ぶのが適当かもしれない。

彼らをネトウヨと呼ぶ人もいるみたいだけど、右翼というよりファシストな気がする。
しかも、革命が起これば面白いって、外山恒一か(笑)

まあ、大した根拠はないけど、外山恒一は嫌いじゃないけどね。
デルクイは面白かったw)


面白いのは、職を奪われるとか生命を脅かされるとか、生存に直結する訴えではなく、テレビが自分の好みでないという、世界にも稀な恵まれた欲求でデモをしている点にある。

自分は、右翼も左翼も、それぞれ一定の正しさを認める部分があると思っているし、ファシストにも一定の理解が可能とは思っているが、どうも今回のはダメだ。

そりゃ、昼間TVつけたら、テレ東以外の民放が全部、韓流かショップチャンネルしか流してなかったりすると、心底ゲンナリする。フジテレビだけじゃないだろう。

でも、TV消すだけで十分なんだよな。(悪態くらいつくけどねw)

ネットで、ファビョッてるサイト見るのと、感想は同じ。公共性云々言う人は、まだテレビを過大評価してるのだろうけど、もうテレビなんてどうでも良いじゃん。
NHKとテレ東とMXテレビがあれば(ry


もちろん、彼らのような(相対的な意味での)第三者ではなく、実際に自らの仕事が侵されていると感じた当事者たる俳優などが抗議するのは、ある程度理解できる。しかしそれも、文句があるならハリウッドみたいに、自分らの職を守るための協定を結ぶように、労働組合運動すべきでしょ。

古今東西資本主義国家では、資本家に対抗するための手段なんて、限られてるわけ。ハリウッドなら全米映画俳優協会。だけど、今の日本人て、そういうのサヨクっぽくてかっこ悪いとか、偏見で自己防衛手段を放棄してないかい?
日本俳優協会なんかは、この一連の問題に対して、何かアクションしてるとは聞かない。


かつて我々がエコノミックアニマルと呼ばれ、経済摩擦の厳しかった頃、アメリカなどで日本製品のボイコットや破壊が行われ、その過激な映像がTVを賑わせていた。過激に日本製品の排斥運動をする外国人の映像をニュースで見る都度、子供心に「そんなにうちらの製品が優秀なのが羨ましいか」と内心ニヤニヤ、「あいつら馬鹿だなぁ」と思っていた。もちろん、日本製品が叩かれたのは、決してステルスマーケティングだからじゃなかったけどね。

ま、アメリカ人が日本車を破壊して、自国メーカーの車に乗ろうと気勢を上げていた頃、そのパーツの多くは日本製だったというオチはともかく、日本人なら、絶対にあんな馬鹿げた方法で抗議しないと思っていた。が、今起こっていることは、なんかそれを思い起こさせる。違いは、対象が無体物ってこと。破壊が難しい(^^;

通常、海外製品が安価に日本に売られることで、日本の事業者が損害を被るなら、ダンピングとしてWTO提訴するとか、公正取引委員会の出番ではないか。

しかし、不勉強で分からんけど、コンテンツに対してダンピングて概念あるのかね?
同等製品が存在しない前提というか、同じものなら著作権侵害の問題かな。
だけど、同等の市場を争う同種のコンテンツは、確実に存在するわけ。
しかも、著作物って、無限にコピーできる概念だから、安価に複製することは非難対象じゃないんだよね。

そういう意味で考えると、構造的には、ネットで違法に映画を無料配信されちゃって著作権者自らが怒るのと、安価な韓流ドラマに押されて市場を荒らされたと感じて俳優とかが怒るのと、ちょっと似てるかもしれない。

非常に難しいとは思うけど、仮にダンピングと定義できたとしても、やはり国内の同業者が声を上げなければ意味がない。国内の番組製作会社とか周辺は、韓流ドラマをどう考えているのか。市場を荒らされていると感じているのかね。

まあ、TPPに反対する農家みたいになったら、そもそもその業界はヤバイと思うけどね。
コンテンツ分野は、元来輸入過多だけど、だからこそ、輸出を伸ばすべき成長分野と目されているわけで、保護対象になんてされたら、もう自称クールなんて恥ずかしくて二度と言えないと思うのだが。

だからこそ、自国ではコンテンツ保護してるような韓流も、クールには見えない。
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011022401000298.html
韓国での日本大衆文化の流入制限とか、いい加減にしてくれ。

早く完全に同じ土俵に立たせろやゴラァ!(笑)
話はそれからだ。

復興カジノ

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最近、仙台カジノ構想とか、カジノで被災地復興をという話が、新聞等でも頻繁に取り上げられるようになった。

自分は以前から、震災と関係なくカジノ賛成で、そのことはここでも書いてきたので、大変良い動きだと思っている。

ただし、観光や雇用、周辺産業等へのプラスの経済効果を生じさせるための手段であるはずのカジノが、キーワードが一人歩きし、カジノそのものが目的化しそうという不安が、少々ある。

例えば、ラスベガスのような、カジノを中心とした複合エンターテインメント・シティ(と言う呼び名が適当かどうかは別にして)と、ソウルのような、普通の街中のホテルにカジノがあるだけとでは、同じカジノでもその意味が全然違う。

日本では、この違いですら理解できていない人が少なくないだろうが、復興カジノであれば、どちらかと言えばラスベガス型だろう。(もちろん今なら、マカオやシンガポールなど、参考にすべき形態は色々あるが。)
ところが、巨大な街を作ろうとする時に、個別の施設の話が先行しているような話を見かけるに、少々心配な感じがしている。

誤解を気にせずに言うなら、ラスベガスを目指すと言いながら、ソウルのカジノくらいしか出来上がらない手法になってやいないか?という感じか。

例えば、ラスベガス、マカオと言えば、誰もがカジノを連想する。しかし、ソウル、インチョンと聞いてカジノを連想するのは、自分のようなカジノ好きだけだ。復興のための仙台カジノ構想というからには、今後仙台と言えば、世界中の観光客がカジノを連想するような、壮大なプロジェクトを目指すハズだ。

そういう時に、仙台空港近郊にカジノが1つできるとか、関連施設の具体案を話し合うとか、そんなのはどうでも良いことだ。

そもそもそんなことは、そこでカジノ開業を許された民間業者が中心になって考えることだ。(もちろん今回は、震災復興という性格上、地元の意見が尊重されるべきだろうが。)現時点における個別の施設の具体案などは、特定の業者が当該事業を請け負うことが予め決まっているような、怪しい癒着の存在する状況でなければ、無意味なはずだ。そういう矮小化された議論に陥らないよう、今後の報道を注視したい。


ところで、一つ誤った記事を見つけた。

「"復興"カジノが仙台にできる!菅退陣にらみ加速」
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110723/plt1107231519001-n1.htm

菅退陣は関係ないだろと思うが、そこは産経のzakzakなんで仕方ない(笑)
問題は以下。
<--
「2005年にハリケーン・カトリーナがニューオーリンズを直撃し、同地は壊滅的な被害を受けた。同地はもともとカジノが原則禁止で、ミシシッピー河の船上で例外的に認められていたにすぎなかった。だが、この被害で方針を転換し、復興財源確保から陸上でのカジノ解禁に踏み切った」

 そのニューオーリンズは、いまやラスベガスに次ぐ一大カジノ・リゾートに変わり、「年間の売上高は500億円を超え、地元経済の活性化に寄与している」(先の関係者)。
-->

これは、とても誤解を生むし、間違っているとも言える。

ミシシッピ川はニューオーリンズを流れていて、確かにハリケーンで、ニューオーリンズは甚大な被害を受けた。しかし、ハリケーン前から、ニューオーリンズの街中には1軒カジノがあった。

船上カジノを例外として認めていたのではなく、船上カジノを原則認めて、陸地のカジノを例外的に認めていたというのが正しいのではないか。何をもって、カジノが原則禁止だった等と言っているのか、理解に苦しむ。

しかも、その陸地の1軒は、かなり巨大だった。
そこで負けたことがある人間が言うのだから、間違いない(自爆)

2000年にニューオーリンズでSIGGRAPHがあって、会社の出張で行ったついでに、旧ハラース・エンターテインメント(現シーザース・エンターテインメント)のカジノで大負けしたw
http://maps.google.co.jp/maps/place?q=Harrah%27s+New+Orleans&hl=ja&cid=8438002675536921036

確かにハリケーン後、ニューオーリンズは、カジノを活用した街の再建を計画した。しかし、原則禁止からの方針変更というより、当時も「カジノ拡大」と報道されていたはずだ。

市長は、500室以上の大型ホテルであればカジノ併設を許可するという新方針を打ち出しつつ、フレンチ・クオーター内のホテルには、カジノを許可しないと言ったと報道されていた。観光資源として、既に十分に魅力がある地域は、カジノから守る姿勢も示したわけだ。
その後の詳細は、あまり報道されていないので、正直よく分からない。
(また行ってみたいなぁ~)

しかし、議連関係者とやらが、「年間の売上高は500億円を超え」ることが地域経済の活性化に寄与していると言うこと自体、ニューオーリンズを理解していないのではないかと思う。元々メジャーな観光地であるニューオーリンズ市の税収(大半が観光収入)は、ハリケーン前の2004年で約49億ドル。当時は1ドル110円くらいの時代なので、約5400億円だ。しかも、元々カジノもあったことは上記の通り。すると、500億円のうち、増えたカジノの純粋な効果って、ナンボ?

アメリカでも有数の観光地という前提条件のあるニューオーリンズにカジノが増えたことを、観光立国発展途上の日本の仙台にカジノを作ることの引き合いに出すこと自体、とても不適切に感じる。


そこで、議連関係者とやらの知識がいい加減という前提に立ってみると、もしかして、ミシシッピ州の話もごっちゃになっているのではないかと思えてきた。ミシシッピ州も、ハリケーン被害を契機に、復興のためにカジノ法を改正した。ニューオーリンズにミシシッピ川は流れているが、あそこはルイジアナ州だ。この議連関係者とやらは、ニューオーリンズがミシシッピ州にあると誤解してやいないか。話がゴッチャになっている気がする。

水上で限定的にカジノを認めていたのを、陸上でも認めるように法改正して震災復興に成功したのは、ミシシッピ州なんで。

まあ、間違っていようと、実際に参考にすべき成功事例があるなら、目くじらたてる程のことではないとも思う。しかし、要はその程度のいい加減な知識しかない人々が、この議論を間違った方向に利益誘導しやしないか、そういうのがとっても心配なんだよね...


ミシシッピ州の、震災からの復興のためのカジノ活用の成功については、以下の方のブログに大変詳しい資料があったので、興味のある方は参考にどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/5093310.html
「2)カジノは産業を生む」の「<参照>」のリンク先から、資料をダウンロードできます。


http://www.yomiuri.co.jp/election/local/2011/news1/20110410-OYT1T00573.htm
(2011年4月10日21時17分 読売新聞)

>パチンコと自動販売機で合わせて1000万キロ・ワット近い電力が消費されている
>パチンコする人は我慢なさい、自販機がなくても生きていける

石原という人は、またサラッと大嘘つくよな。本人は、事実だと誤信してるのだろうけど、まあ高齢者だから仕方ないか。
このインタビューがTVで流れてたけど、kWkWhの区別ができてないらしく、福島の原発から供給している電力と丁度同じだと、とんでもないデマを真面目に語っていた。もともとは、読売新聞が東京ドームの消費電力が大きくないと主張するための記事で、他の産業と比較したのが始まりみたいだ。

3月24日の記事によれば、東京電力管内の主な産業や施設などの1日あたりの電力使用量として、以下のように紹介されていた。
自動車・電機など :4617万kWh
化学       :2470万kWh
鉄鋼       :1753万kWh
鉄道       :1726万kWh
食品       :1530万kWh
パチンコ      :415万kWh
飲料自販機     :400万kWh
東京ディズニーリゾート:57万kWh
東京ドームプロ野球1試合:4万kWh

パチンコと自販機合わせても、1日で815万kWhなんだけど、パチンコは1日12時間営業とするなら、
415万kWh÷12h≒35万kW
自販機は24時間稼動してるだろうから、
400万kWh÷24h≒17万kW

だから、合計するなら50万kWくらいってのが事実で、どう計算しても1000万kWなんてない。ちょっと考えれば、福島の不足分がパチンコと自販機だけで足りるなんて、有り得ない話だと気付くはずなんだけどな(苦笑)

おまけに、パチンコや自販機が電気を食うにしても、今はどっちも節電やってるから、実際はもっと少ないだろうね。
彼のような誤解は、ネット上に出回ってるみたいだけど、あの人意外と、ネットがソースみたいな話が多い気がする(^^;
--
>追記
読売の記事を紹介してパチンコを批判するサイトの多くは、記事を書き写す時点でkWhkWに間違ってる(故意?)ものがゾロゾロなのだ。それじゃあ、自動車・電機+化学だけで、東電の供給力をオーバーしてしまうのだけど...
--

大体、「~がなくても生きていける」なんて基準で規制が正当化され始めたら、全ての娯楽がアウトだ。彼が、娯楽全般がなくても生きていけると思っているなら、パチンコを規制することの波及効果は絶大だけど。(まあ、原発ならなくても生きていけるとは思うけどw)

パチンコ産業が衰退すると、ソフトを供給しているCG・ゲーム業界も落ち込んで、映像産業全般に深刻な影響が出るだろう。また、あれは精密機械の塊なんで、チップや液晶などハード面を供給してる国内メーカーも、収益の柱の一つを失うだろうね。

20兆円もの巨大産業ってのは、一見それと関係なさそうな複数の産業がぶら下がって国内に利益を還元しているので、代替する産業(カジノとか)の成立とバーターじゃないと、簡単に衰退されちゃ困るんだよ。

パチンコの負の側面を強調するのは、誰でも簡単にできるのだけど、それを規制することの負の側面は、議論が足りない。

http://www.yomiuri.co.jp/election/local/2011/news1/20110410-OYT1T00567.htm
(2011年4月10日23時27分 読売新聞)
>我欲を抑えて、自分の生活をつましくしないと日本がもたない。日本人全体がスクラムを組みながら肩を組んでやろう

と団結を呼びかけながら、特定の産業や販売形態のみ名指しで攻撃するのは、そもそも矛盾してるしね。ま、都民じゃなければ、我欲を抑えるのは都民の問題であって、日本人全体とか何言ってんの?と思うかもしれないが。
つか、自販機は震災時に無料開放する防災インフラとして有効なことが、今回証明されたはずなんだが...


以前は、彼の言う「我欲」ってのは、「欲しがりません勝つまでは」なのかと思ったけど、実は、永遠に「欲しがるな」って話なんだろうと思えてきた。去年の都条例改悪と、根は一緒かもしれない。パチンコ規制なんて、彼の欲する無欲社会実現からすれば、小さな切っ掛けの一つに過ぎないのだろうね(^^;

そういえば選挙前に、副都知事がこんな話をしていた。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110401/dms1104011624020-n1.htm
(2011.04.01 zakzak)→魚拓
しきりに政府批判しながら、4000万株の大株主の東京都が主導できることがあるのではないかという問いに、「それは、いま考えるべきことではない。未曾有の国難を迎え、国も地方自治体も国民も試されている。首都圏のすべての住民にとって、地域の共同性を再構築する機会でもある。」と。

つまり、未曾有の国難は、地域の共同性を再構築するチャンスだから、大株主だけど放置してるわけだ。

震災後、都知事の発言も話題になったけど、その後も、震災を自らが都知事選に出馬する天命だと思ったと発言してたから、少なくとも震災をネガティブには捉えてなかった。

「地域の共同性を再構築」し、生きるのに必要のない「我欲」とやらを捨てる社会にする機会だから、震災を上手く利用して不作為で状況を悪化させたいというなら、都知事の数々の発言は矛盾せず、整合性がある。カルト宗教みたいだけど。

東電株価暴落で何百億円単位で大損失を出してる当事者たる東京都が、東電の取締役の責任追及に言及しないという不合理な行動にも、説明がつく。単なる選挙対策じゃなさそうだ。

以前は、東京都の東電の持株比率を増加させて、都民に対してもっと責任ある行動を取らせれば、都民ひいては国民の利益に適うのではないかと思っていたけど、彼が当選した以上は、そういう望みはないってことなのだろう。

ところで今回、高齢者の支持で彼が当選したのだけど、40代以下の不投票率高すぎ。
http://twitpic.com/4j9i91
今までからすれば、当選したとはいえ「過半数から選ばれなかった」という結果は大きいだけに、残念だ。高齢化社会の実害というのは、若者のマイノリティー化にあるのに、加えて投票しないというのは、高齢者のやりたい放題を受け入れるってことなのかな。
みんな、高齢者に優しいね(苦笑)


>追記
日本自動販売機工業会が反論してた。
http://www.jvma.or.jp/information/peakcut.pdf
読売の記事のせいか、無知な高齢者のせいか知らないけど、名指しでメディア使ってデマレベルの因縁つけられた業界は、風評被害を打ち消すのに大変だなぁ。本当に同情する。

ということで、自販機のところの計算、24hで割ってるのはやっぱり単純すぎて、夏場の電力需要が上昇する時間帯は、エコベンダーのピークカット機能で、もっと極端に電力消費が抑えられるとのこと。

しかし、こんなに自販機の性能が発達してる国って、ある意味誇らしい。海外の自販機で痛い目にあわせられたことが多い身としては、尚更実感(^^;

>追記2
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110416k0000m010055000c.html
(毎日新聞 2011年4月15日 19時18分(最終更新 4月15日 20時58分))
「石原知事は「国難の中で生活様式を変える必要がある。戦争中も灯火管制で明かりが漏れたら周りから注意された」など戦時中の体験を引き合いに、パチンコや自動販売機の電力消費を「無駄」と改めてやり玉に挙げた。」

ははは...
前に「計画停電を楽しもう」で
http://maruko.to/2011/03/post-110.html
>ネオンサインを統制したら、次は何?
>ネオンサインだけじゃ、済まないでしょ?
と書いた通りだね。

そんなに戦時中が懐かしくて再現したいなんて、彼はどんな軍国少年だったのかな?
そんなノスタル爺は要らない」んだけど、多数派の高齢者が彼を選択した以上、東京はもう仕方ないね。

こういう、おかしなこと言う高齢者は、そりゃどこにでもいる。だから普通は、気にしない。うちの父親だって、死ぬ前は相当におかしかった。

でも、この場合、当選なんてしちゃったものだから、こんな醜態を世間に晒すことになった彼は、心から哀れだと思う。だって、彼がどんなマヌケな大嘘を言っても、それはもう権力者の発言であって、影響力があって、実現しちゃったりするわけで、老人の妄想じゃ済まない。

間違いなく、若いころの石原なら、今の石原老人を差別的な発言で罵ることに躊躇しないだろうにね(苦笑)


ついでに、上記記事に、各業界からのピーク時の電力消費についての記述があったので触れておく。
「業界によると、東京電力管内のパチンコ店のピーク時の消費電力は計84万キロワット、清涼飲料水の自販機は計26万キロワット」

ということで、単純計算より多かったど、それだけ、他の時間帯は極端に少なくなるということだ。自販機なら、ピークカット機能が作動するより前の時間帯がピークなのだろう。


>蛇足
来月が某試験なので、しばらく更新が滞るかもしれません。
が、そもそも、全然合格の気配がないので、今年は受験しない可能性も...
せっかく仕事辞めたのに、何やってんだかという感じですが(涙)
もう少し悩みますが、既に1回空振りしてるので、あと2回は慎重に球を選ぼうかと。
箱根での引き篭り山篭り生活で、体が溶けてしまわないように気をつけます(自爆)


■廉価版DVD
今更という話ではあるけど、アニメのDVDの価格設定が面白い。旧作の廉価版DVDが大量に出始めて、コアなヲタクでなくても衝動買いできるようになってきている。

去年からのバンダイビジュアルのEMOTION the Bestというシリーズの登場がきっかけの一つのようだけど、ジェネオンのRONDO ROBE SELECTIONも、11月末までの期間限定の廉価版という形で販売していて、廉価版がちょっとしたブームになっている。こういう場合の期間限定という言葉の使い方は、購買意欲をくすぐる(笑)

以前、DVDのセル市場の価格設定について触れた、
http://maruko.to/2009/01/post-5.html
上記の第7項にも書いたけど、この市場には、ヘビーユーザー層(年間購入金額3万円以上)と、それ以外のライトユーザーというか、いわゆる一般消費者層が存在し、売上げの大半は少数のヘビーユーザーによって成立している。

ところが廉価版DVDは、売上げに寄与してこなかった一般消費者層を開拓しようとするもので、画質にこだわるヘビーユーザー層は高額でもブルーレイを買うという棲み分けが成立した時代ならではの、ダブルスタンダード戦略だろう。ちょっと、昔を思い出しながら、廉価版の背景を想像してみる。


■昔のOVA
そもそも、OVAが登場した1980年代、ヘビーユーザーというか、まだ規模の小さなヲタク第一世代を対象に市場が形成されたため、価格は高いのが当たり前で、ビデオ作品を買うことへのハードルは、今とは比べ物にならない程高かった。まだ、大きなお友達が今ほど多くなく、大人がアニメを見るのもはばかられる時代に、平気で1万円以上の価格設定がされていたという状況の特殊性は、当時を知らないと理解し難い。最近だって、アニメはブルーレイが高い高いと言われているわけだが、約25年前はもっと高かったのに、ファンはそれが仕方ないと理解していた。日陰者の嗜好品というと語弊があるが、TV化が無理な作品をマイナー市場向けに製作するのだから、高いのが当たり前で、しかも買うというより、良作の作品作りにダイレクトに出資しているような感覚に近かったかもしれない。買い支える感覚だ。

丁度、当時のOVAの値段について、面白いツイートがある。
http://togetter.com/li/18577

皆でお金を出し合って買って観たなんてツイートもあるけれど、個人でいくつも買えるシロモノではなく、買ったら皆で貸し合うことに、著作権侵害だなんて誰も言わない時代だ。

当時、お金のないアニメファンがOVAを見る手段の第一は、アニメ専門誌(アニメージュアニメディア、ジ・アニメ、遅れて登場したニュータイプ、OVAのためのアニメV、他にも、アニメックファンロード月間アウトとか)のイベント告知のページで試写会情報をゲットし、せっせとハガキで応募することだった。(主要都市でしか開催されないので、地方在住のアニメファンは、さぞかし苦労しただろう。)

試写会会場では、普通の映画の試写会と異なり、アニメ本編の試写の前に、主題歌のライブコンサートなんてものも定番だった。というのも、会場ロビーではOVAの予約受付や、サントラのレコード販売が行われており、試写会と言いながらも即売場を兼ねていたからだ。

声優や監督の裏話やコンサートの合間に、必ず物品販売の告知が入り、「本日この会場でビデオの予約をされた方には、サイン入りポスターを差し上げます!」とか、「予約者は、イベント最後に、セル画や関係者のサイン色紙が当たる大抽選会に参加できます!最後に声優さんと握手も!」とか、「本日、まだ予約が少なくて、是非皆さんのご協力が必要です。続編につなげるためにも、是非!」みたいな、泣き落としもあった。

あ、当日既に販売会社の解散が決まっていて、この作品で最後ですから買ってください、なんて試写会も思い出したw

まあとにかく、未成年が大量に含まれる会場で、コンサートやイベントで昂揚させて判断能力を低下させ、その場でグッズ購入やOVAの予約をしなければ損だという印象を植えつけ、高額商品を売りつけ...というと、一歩間違えばマルチ商法の勧誘のようだが、別に悪質なわけではなく、レコードやビデオは、値引き無しの定価販売が当たり前の時代でもあって、特典がもらえるならと、こぞって予約の列ができていた。

それを羨ましく眺めつつ、OVAを買う金がないので、仕方なくサントラのレコードを買っていたのを思い出すが、LPレコードは大きいので、ジャケットの大きな絵をゲットできてちょっとお得に感じていたような気もするし、レコードでも、買えば当日の抽選会に参加できたり、関係者と握手できたり...って、やはり冷静な判断力を失っていたかな(自爆)

で、レンタルビデオを待つのが、第二の手段だ。いつからOVAがレンタルされるようになったのか定かでないが、OVAが置いてあるレンタル屋を見つけるのに、店を転々としたファンも多かろう。で、借りたら当たり前に、VHSのデッキを2台つないでアナログ劣化コピーして、よく分からない満足を得ていた。コピーガードなんて施されていない時代のお話(苦笑)


■価格破壊と市場拡大
今の感覚だと高いと感じるかもしれないが、一話4800円という価格破壊をもたらしたパトレイバーが、自分が初めてシリーズもので買い揃えられた作品だった(後に、演出してた澤井さんと職場が一緒になった時は、実はかなりブッたまげた)。その後、ウィークリービデオ(隔週で二話づつビデオを送ってくる)と称して一話2500円計算で全26話を予約者のみに限定販売した銀河英雄伝説、それらにつられて安く価格設定されたレア・ガルフォースなども、頑張って買ったw

今のアニメからは想像がつかないだろうが、パトレイバーも銀河英雄伝説も、途中のアイキャッチで、TVのようにCMが入っていた。ビデオ販売作品なのに、企業CM入れてコスト削減し、更には、いつかTVで放映できる日に備えていたのだ。

こうして、低価格化(当時として)、一般向けに市場拡大を目指す流れができた結果、予算をかけて自由に創った作品を少数者に売る市場としての、OVA本来の存在意義が、変化を始めた。マンガ連載との相乗効果を狙う、メディアミックス路線の作品が増えたのもこの頃からだろう。

OVA+マンガから始まったパトレイバーが、劇場版、TV放映へとつながっていく様は、サクセスストーリーそのものだったのではないだろうか。シリーズを買い支えたファンは、作品の成功そのものに歓喜したと言っても、言い過ぎではない。


■メジャー化の代償
パトレイバーを中高生で体験したヲタク第二世代は、第二次ベビーブーム世代でもあり、角川のメディアミックス路線や、攻殻機動隊、エヴァも体験しつつ、1990年代後半には大きなお友達へと成長し、高額作品でも買い支えられるようになった。すると、価格を気にせずクオリティにこだわるようになる。

しかし、深夜アニメの登場や、エヴァが社会現象となっていくにつれ、ビジネスとしてのヲタク市場の拡大は、ヲタクそのものが一般化していく過程と重なる。拡大した市場における一般化したヲタクは、最早本来のヲタクではないのと同様に、OVAも本来のOVAではなくなった。そこに残ったのは、単なる商品とその消費者、という関係に見えた。

かつては見る機会すら限られていたような作品が、衛生や地上波で放送されるような時代になったが、それをVHSで録画しても、最早満足しない。丁度、VHS+LDでの販売スタイルから、DVDへのメディアチェンジのタイミングで、劣化しないデジタルメディアで作品を保有したいという欲望が、TV放映そのものを作品の宣伝媒体と捉えるビジネスモデルを支えた。もちろん、旧作のVHSからDVDへの買い直し需要も生じた。

ヲタクの支払い意欲額の限界に挑戦するかの販売手法が登場する一方、低価格化で市場拡大を目指す必要性が薄れたのか、ガイナックス商法など、焼畑農業に躊躇がなくなった(苦笑)

それでも、好んで焼かれるファンとの蜜月が続き、市場が成立していた頃は良かった。しかし、理由は様々あろうが、ついにパイが縮小し始めたことで、ほころびが生じてきた。

第二次ベビーブーム世代の大きなお友達も既婚者が増えたろうし、そもそもデフレだし、昔と異なり携帯などの通信費が毎月生じる現在、どの世代も趣味に使える金が減っているのだろう。最近のヲタクにとって、映像作品の購入は必須でなくなり、ヲタク的なサービスやファッションその他、ライフスタイル全般におけるヲタク的消費の一部という位置付けとなり、マイナー市場を買い支えるという認識が希薄化したのだろうとも思う。かつてのOVAのような、稀少価値のある嗜好品ではなくなったのだから、そりゃ支払い意欲額も低下する。しかしそれは、そういうビジネスモデルを選択した結果でもある。ま、ジャパニメーションだのクールジャパンだの自画自賛したことの帰結とも言える。シビアな財布で選択と集中の結果、選択に漏れる作品が出たとしても、最早パトロンでもない消費者に文句は言えない。

そういう意味で、ネットの違法配信の影響云々言うのは、これが80年代の稀少価値がある時代のOVAなら理解できるが、90年代以降の、TV放送を前提としたビジネスモデルからすれば、売上げに悪影響が出る要因とは言えないはずで、何とも間が抜けた言い訳に聞こえる。初めから、放送の録画で満足して完結しない人々に向けて、その先の展開で利益を出す計算なのだから、ネット配信で満足してしまうような人は相手にしていなかったはずだ。

だから、
http://maruko.to/2010/07/post-90.html
こういう話になる。

メジャー化し、稀少価値が薄れた現在、消費者の支払い意欲額を引き上げるために、再度の囲い込みを狙うというのは、何とも後ろ向き過ぎる。囲っては焼き払い、囲っては焼き払いでは、いつしかペンペン草も生えなくなる。

あれ?
なんだか話が違う方向に進みすぎた(苦笑)

まあ、そんなこんなで、囲い込みではない、耕作面積拡大のための廉価版販売というのは、大いに賛成だ。

■廉価版の恩恵
減少しているとはいえ、依然としてヘビーユーザーは大事だ。ブルーレイに特典付けて高額にしても、ヘビーユーザー需要はまだ存在する。しかし、それ以外の一般消費者に対する働きかけの必要性も増している。単に、ブルーレイよりDVDが少し安い程度では、一般消費者にはそれでも高すぎる。双方に両立する有効な売り方は...

ということで、旧作DVDの廉価版販売という戦略が、流行りだしたのではなかろうか。ヘビーユーザーが高額で買う時、同時発売で極端な廉価版を出すわけにはいかないし、特典で差を付けるにも限界がある。そこで、時は金なり。旧作扱いなら、廉価版を出しても文句はなかろう。しかも、今更ヘビーユーザーは、DVDなんぞ欲しがらないから悔しくない。

ブルーレイへの過渡期だからこそ可能な、ヘビーユーザーの気分を害さない形での廉価版での需要創出というバンダイビジュアルの手法が継続し、各社も同様の戦略に出ている今、これは買う側にとってもチャンスだろう。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/11/news025.html
これのせいで今後は、廉価版を物理的なメディアで売るという販売手法自体が消える可能性すらある。そういう意味でも、一応メディアとして保有したい人には、今が本当の最後のチャンスかもしれない。

え?
メディアで保有したいって発想自体が、とっくに少数派?
すみません、元ヘビーユーザーだったもんで、やっぱ形が欲しくて(苦笑)


以下、一応自分向けメモとして、気になるのを貼っておこう。


って、気になりすぎる!!(自爆)


■蛇足
今頃、自分が最後にサポートした仕事が、やっと発売するのを見つけた(笑)

廉価版じゃないのにこの価格なのは、お子様向け作品だからだろう。
まぁ、記念に自分用に買っておくかな。


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